
トラクターとは!?その由来や作業機を用いてできる農作業を紹介
農機具(農業用機械)でおなじみのトラクターについて、その由来や役割、機能をはじめ、作業機を用いてどんな農作業が行えるのかをまとめました。これから農業を始められる新規就農者の方にもお勧めのトラクターの使い方を紹介しています。
トラクターの語源

トラクターの語源は、ラテン語の「trahere」が由来で、「to draw(引っ張る)」を意味します。「トラクター」とは牽引(けんいん)車のことで、作業機などで引っ張って様々な作業を行う動力車のことを言います。現在では単に作業機を引っ張るだけでなく、動力取出装置を通じて作業機に回転力を伝え、作業機を駆動して複雑な仕事をこなす移動動力源としての役割が大きいのが特徴です。
トラクターの役割と機能

通常、「圃場(ほじょう)」と呼ばれる田畑を耕す際などに使われることが多いですが、作業機を変えることにより耕起(こうき:土を耕す)、施肥(せひ:肥料を撒く)、播種(はしゅ:種を撒く)、除草(じょそう:草を刈る)など様々な農作業を行うことができます。田植え機やコンバインといった独自の機能をもった農業機械に比べるとトラクターは多機能型の農業機械といえます。
トラクターを使ってどんな農作業ができるのか?作業機別に解説
トラクターで牽引する作業機を替えると、ほぼすべての農作業を行える万能型のトラクター。作業機別にどんなことができるのか解説していきます。
土を耕す代表選手「ロータリー」

農業をされない方でも田起こしの時期になると、トラクターを目にしたことがあるかと思います。耕起(田起こし)は田んぼの土をできるだけ乾燥させて耕す必要があります。耕起の次に行われる「代掻き(しろかき)」の作業で土を細かく練り上げドロドロにするための下地作業と言えます。その作業に使われるのが「ロータリー」です。「ロータリー」は耕うんのために回転する刃やそのユニットを意味します。複数の爪を回転させることにより、土を細かくし空気を送り込むことで柔らかな土になります。
- 耕うん爪の種類

耕うん爪には標準仕様の「ナタ爪」や爪の幅が広く耐久性に優れた「ゴールド爪」、幅広で耐摩耗に優れた「タイガー爪」、「ナタ爪」に鋼をコーティングした「ゼット爪」などがあります。耕うん爪は摩耗すると耕うん・鋤き込み性能が低下して燃費が悪くなったり、機械に負担をかけてしまいますので早めに交換することをお勧めします。耕うん爪の先端の幅が2cmを切ったら交換時期です。使用しているロータリーの型式名や爪本数、メーカー名を確認の上、販売店などに相談します。
代掻き(しろかき)に使うドライブハロー
- 耕代掻き(しろかき) とは
- 代掻き(しろかき)に使うドライブハロー

耕起(田起こし)のあとに田に水を入れて土の塊を砕き細かくし、掻き混ぜて土の表面を平らにする作業を「代掻き(しろかき)」と言います。田んぼの水漏れを防いだり、土の表面をならして均一にすることで苗の生育を促進したり、元肥をむらなく混ぜ込んだりすることができます。さらに、藁や雑草を土に埋め込むことで雑草を生えにくくしたり、有害ガスの発生を抑え有機物の腐熟を促すなど様々な効果があると言われています。

「代掻き(しろかき)」を行うのに適した作業機が「ドライブハロー」です。ロータリーの耕うん爪よりやや短い爪がついており回転することで土を細かく砕き、藁や雑草を土中に埋め込みます。藁や雑草を埋め込むことにより、病気になりにくく除草剤を撒く回数が減ります。またロータリーより幅が広いので作業効率がよく早く平らにならすことができます。
肥料散布に使われるライムソワー

ライムソワーとは肥料散布機の一種で、おもに石灰やようりんなどの粉状肥料を撒くためのものでしたが、最近では粒状肥料でも問題なく使えるようになりました。ライムソワーは全幅落下式で、細長いホッパー(肥料箱)、肥料を均一に出すためのアジテーター(かくはん装置)、操出装置、動力取出装置、トラクターへの取付装置からなります。かくはん装置と操出装置によって、水平軸にスクリューで肥料を押し排出孔から肥料が出る仕組みですが、この装置の作用によっては均一に肥料が繰り出せないことがありますので、定期的に点検が必要です。
消毒に使われるブームスプレーヤー

ブームスプレーヤーとはトラクターに搭載して広い田畑の消毒作業や除草剤の散布する作業機械です。薬剤タンクの後方の「ブーム」と呼ばれる腕や、ポンプ・タンクの大きさ、ノズルの種類など多数あるので用途に応じて選びます。
- ブームスプレーヤーを適切に使用するための注意事項
- 水の流れ道ができて排水性がよくなる
- 空気に接する面積が広くなり通気性がよくなる→作物の生育が促進される
- 根の伸びる範囲が広がり、根腐れを防止することができる。根の伸張が良くなる→作物を大きく育てることができる
- 日照面積が広くなることで地温が高くなり、作物の初期成育が促進される
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① <ノズルの摩耗・損傷がないかチェックする>
散布量が変わってきたら、設定圧力と実際に散布されている流量が適切か確認し、必要に応じてノズルを交換します。
②<作業後の洗浄を確実に行う>
適正な方法で洗浄しないと薬害や残留基準超過などが発生する可能性があります。また、ブーム配管に残った薬剤を洗浄せずに放置すると、ノズルのつまりの原因になります。スプレーヤー説明書や農薬説明書で指定された適正な洗浄を行います。
③<ホースのつぶれや導管の変形がないか確認する>
ノズルまでの圧力が減少し、散布量が少なくなる可能性がありますので、定期的に点検し必要に応じてメンテナンスをします。
④その他にもタイヤの空気圧やブームの揺れに異常がないか点検します。
畝立てに整形倍土機

畑に畝(うね)をつくることを「畝立て(うねたて)」と言います。耕うんした土を盛り上げて畑に溝を作ります。畝立てにはどんな効果があるのでしょうか。
畝立ては少しずつ土をすくってまっすぐ均一に土を盛り上げていく作業です。手作業では難しいところもあります。そんな時に「整形培土機(せいけいばいどき)」があると効率的に畝立てをすることができます。平畝・台形畝・高畝など栽培品目に合わせて畝を作ることができるのも特徴です。整形と同時に施肥も行える作業機もあります。
マルチを貼るマルチャー

マルチャーとは整形培土機にマルチを貼る機能が付いた作業機です。マルチャーには平畝用と高畝用があり、栽培する作物の畝の高さによって選びます。土をしっかりとマルチングすることで土の沈下を抑え、除草効果に役立ちます。
種を撒く播種機

播種機(はしゅき)とは種を撒く作業機のことです。栽培品種に合わせて適した作業機を選びます。播種機は一定の圧力で播種深度を維持しながら、排出ローラーから種子や肥料を一定で正確に送出します。調整ダイヤルにて播種量の調整も簡単に行えます。播種作業の効率化や作物の高品質化が期待できる欠かせない作業機です。
収穫にハーベスター

ハーベスターとは収穫ができる作業機のことです。じゃがいも、さつまいも、サトイモ、こんにゃく、ねぎ、ごぼうなど様々な作物に対応した作業機があります。ハーベスターには自走する大型タイプのものと、トラクターでけん引するものとがありますが、小規模農園であれば処理能力は劣るものの、コストパフォーマンスの面でけん引型が選ばれることが多いようです。
草刈りにハンマーナイフモア

ハンマーナイフモアは草を細かく切り刻むことができます。休耕田や緑肥の細断のほかにも果樹園の下草刈りやアスパラやゴボウの茎葉の処理に使われます。ハンマーナイフモアの刃は一点で固定されており、釜のように刃を振り回すことで、草を切り刻むことができます。石や木などの障害があるところでも使えるのが特徴です。当社では、ハンマーナイフモアを使用した草刈りを行っています。
雪国では除雪機として

トラクター用の除雪機をトラクターに装着することで雪国での除雪を行うことができます。農道やハウス脇、家の周りの深い雪も楽に除雪することができます。トラクターの大きさに合わせたアタッチメントを選びます。
トラクターのまとめ
トラクタの色々な使い方を紹介してきました。作業機を付け替えることでいろいろな使い方ができるトラクターは農家の方々には欠かせない存在であるといえます。作業効率をアップするだけでなく、質の高い仕事を均一に行うことによって、作物の生育を促進したり品質を高めることができます。また、新たに農機具を購入するよりもコストが抑えられるのも魅力的です。用途に応じて幅広い使い方をされてみてはいかがでしょうか。

トラクター侍
